
ベビーオイルは赤ちゃんから使える保湿・マッサージオイルとして昔から使われてきました。滑りがよく保湿力に長けているのにベタつかない使用感は、今や大人の保湿ケアとしても人気をかもし出しています。しかし、肌に合わない人やベビーオイルの特性上、使用しないほうがいい肌タイプの人もいます。ベビーオイルの保湿効果に注目しながら、上手に使える方法を伝授していきます。
もくじ
ベビーオイルがスキンケアにいいって本当?
ベビーオイルは赤ちゃんのスキンケアやマッサージにも使われるくらいなので、大人も使えそうな気がしますね。安価で手に入れることができて、もし大人のスキンケアに使えるなら経済的にもお得です。
最近はあまりお金をかけずに質の良い化粧品を選んで使いこなす「プチプラ」が流行っており、その流れを受けてベビーオイルの美容効果が注目されています。果たしてベビーオイルはスキンケアにも使えるのか?ベビーオイルとはどんなもので肌にどんな効果を及ぼすのか?検証していきましょう。
よく聞くベビーオイルってどんなもの?
そもそもベビーオイルというのはどんなものなのでしょうか?出産時に必要なものリストにほぼ必ず入っているベビーオイル、買ってはみたけど使わなかったという人もいるかもしれませんね。
赤ちゃんに使う目的で作られたベビーオイルは、実は原油から作られたものです。プラスティックを製造する過程で出てくる廃油を精製して不純物を取り除いたのがベビーオイルなのです。
生まれたての赤ちゃんに使うオイルの原料が原油だなんてとてもビックリしてしまうかもしれませんね。しかし原油はもともと太古の昔に生きていた植物や動物が地中に埋まってできたものですから、自然のものには変わりありません。
成分
主な成分はミネラルオイル。そして保存剤として酢酸トコフェロールが含まれています。
ミネラルオイル
ミネラルオイルがベビーオイルの主成分です。ミネラルというくらいだから、ビタミンなどと共に栄養素に数えられるものかと勘違いしてしまいそうですが、原油、つまり鉱物油からできたものだからミネラルと名付けられています。
他の成分を配合しても化学反応を起こしにくく、非常に安定しています。似たような保湿剤にワセリンなどがあげられます。そしてとても保湿効果が高く、その保湿力は、同じように保湿効果が高いホホバオイルの3倍にもなります。
酢酸トコフェロール
酢酸トコフェロールは、ベビーオイルの劣化を防ぐために入っている酸化防止剤です。ベビーオイルの主成分であるミネラルオイルには水素が含まれていて、炭素と結びついて安定はしていますが、やはり水素なので酸素と結びつきやすい性質があります。
その酸化を防いでくれるのが酢酸トコフェロールです。別名ビタミンEとも言われますが、自然界で取れるビタミンEではなくて人工的なものです。酸化防止以外では、血行をよくしてくれる作用もあります。
油焼けは昔のこと
昔はよくワセリンやベビーオイルなどの原油から生まれた保湿剤が、肌あれを起こしたり、塗布後に日光を浴びたりすると黒く変色する、と言われていました。そのため、石油を原材料にする保湿剤は良くないと思われる方が多かったのですが、今は時代が変わってそういった心配はほとんどなくなっています。
黒く変色することを「油焼け」というのですが、その原因は精製技術が足らずに不純物がオイルの中に残ってしまっていたためです。不純物が酸素や日の光にさらされることで酸化し、黒く油焼けを起こすのです。
しかし、現在では科学技術の発展によって不純物はほぼ100%取り除かれており、油焼けなどの心配はほとんどありません。
肌の乾燥や保湿機能
ベビーオイルが肌にもたらす保湿機能をご説明する前に、確認として肌が乾燥してしまうしくみや、肌本来が持っている保湿機能について、簡単にご説明していこうと思います。
表皮
まず確認しておきたいのは、肌の保湿に最も関わっている部位です。肌の層は役割によってそれぞれ分けることができて、表皮、真皮、皮下組織の3層からなっています。
その中でも保湿機能を担っているのが表皮。肌の一番外側で外部刺激や乾燥や雑菌から肌を守っています。
皮脂膜
皮脂膜は肌の表面を覆っている、皮脂と汗が混ざり合った膜です。皮脂と汗というとなんとなく不潔な感じを受ける人がいるかもしれませんが、これは実は、どんな化粧品よりも素晴らしい天然の保湿クリームなのです。この皮脂膜が肌の水分蒸発を防いでいます。
また、皮脂と汗がちょうどよく混ざり合い、皮膚の表面に存在している常在菌によって弱酸性に保たれています。その絶妙なバランスは見事なもので、弱酸性によって外部から雑菌の侵入を防いでいます。この皮脂膜のバランスが崩れてしまうと乾燥肌やニキビなど肌のトラブルが起こってしまいます。
角質層
表皮の中で一番上に位置していて、肌の保湿で一番重要な部分です。
角質層には天然保湿因子(NMF)が含まれている角質細胞が積み重なっていて、そのすき間を角質細胞間脂質(セラミド)が埋め尽くしています。
よくレンガとセメントに例えられていますが、それに当てはめてみると、レンガが角質細胞で、その中に天然保湿因子(NMF)が含まれていて、水分を保持しています。その角質細胞がまるでレンガのように積み重なっていて、その隙間を埋めるようにセメントの役割をしている角質細胞間脂質(セラミド)という脂質が、水分を抱き込んでいます。
顆粒層・有棘層・基底層
角質層の下には顆粒層、有棘層、基底層と重なっていて、一番下の基底層から生まれた細胞がだんだんと押し上げられながら、有棘細胞、顆粒細胞に変化していって、最後は角質層に押し上げられながら角質細胞に変化し、死んだ細胞となります。
一番上の角質細胞は確かに死んでしまった細胞で、そのうちに肌の一番表面にまで押し上げられて、垢となって落ちるのを待ちます。しかし、最後の最後の役割として肌表面の保湿という、美容にも健康にもとても大切な役割を果たしているのです。
肌の乾燥とは
肌が乾燥してしまうということは、まず皮脂膜のバランスが崩れて角質層の水分が蒸発してしまうということです。皮脂膜が少なくなると角質細胞に含まれている天然保湿因子(NMF)の水分が乾いていってしまい、さらに角質細胞間脂質(セラミド)が抱き込んでいる水分まで蒸発してしまします。
そのため、角質細胞は乾燥してカチカチに硬くなり、角質細胞同士にも隙間ができてしまうので、そこからさらに水分が蒸発していったり、雑菌が侵入して肌トラブルが発生したりしてしまうのです。
天然保湿因子やセラミドは年齢とともに少なくなっていくので、それを作り出す栄養素を補給しないといけません。しかし栄養補給以外にスキンケアで乾燥対策として一番やっておきたいことは、まず乾燥の原因になる皮脂膜を維持することなのです。
ベビーオイルと肌の関係
では、ベビーオイルは肌にとってどんな役割をするのでしょうか?
一般の保湿化粧品とベビーオイル
市販されている保湿化粧品には、肌内部まで浸透して年齢とともに減少してくるセラミドを補ったり、生成を促したりする成分が入っていることがあります。そういった化粧品は角質層などに直接アプローチするものですが、ベビーオイルはこういった化粧品とは少し違います。
蓋の役割をしてくれる
ベビーオイルは角質層などに浸透せず、肌表面に油膜を張るという形で保湿を助けます。要するに肌の水分が飛ばないように蓋をしてくれるわけです。ベビーオイルを使う上で、皮脂膜の代わりをしてくれるということを意識して使うことが大切ですね。
肌が乾燥すると、体は肌の水分蒸発を防ごうとして皮脂を多く分泌する場合があります。もし皮脂が過剰に分泌されている状態でベビーオイルなどを使うと、肌の油分が多すぎてベタベタになってしまう気がしますね。
しかし実は逆で、ベビーオイルなどで肌をカバーすると、体は保湿されている安心感から、皮脂を余分に分泌しなくなるのです。
しかしそういった体の特徴は、注意が必要なケースがあります。それは化粧品の依存です。皮脂の代わりを果たしてくれる保湿剤をずっと使い続けると、体はその保湿剤の効果に依存して「皮脂を出さなくてもいい」と錯覚してしまうのです。そのため、自己免疫が働きづらくなりその保湿剤がないとすぐに乾燥してしまったりしてしまいます。
なので、ベビーオイルを保湿剤としてずっと使い続けるのはオススメしません。
ベビーオイルの特性を利用した保湿
ではベビーオイルはどういった使い方をしたら良いのでしょうか?こちらではその部位ごとのベビーオイル活用法をご紹介していきます。
スキンケア
まずは顔のケアでの活用法です。基礎化粧品の一番最後にベビーオイルを塗る人もいますが、体の免疫機能を妨げるので、乾燥がとてもひどい時以外はあまりオススメできません。しかしベビーオイルは保湿アイテム以外にも美肌になるために色々な場面で使うことができます。
クレンジング
ベビーオイルをメイクになじませてクレンジングとして使えます。クレンジング剤は肌に良くない成分も含まれていることがありますが、ベビーオイルなら赤ちゃんの肌にも使えるほど優しいので、クレンジングによる肌あれの心配がほとんどありません。
また、お化粧直しをする時の部分落としにベビーオイルを使うこともできます。コットンにベビーオイルを染み込ませてメイクが崩れたところをさっと拭って、メイクを直しましょう。
フェイスマッサージ
ベビーオイルは滑りがいいので、フェイスマッサージをする時にも使うことができます。洗顔後適量を手にとって馴染ませたら、そのオイルで顔をやさしくマッサージします。
黒ずみケア
鼻の黒ずみなどはブツブツと目立つので、なんとかしたいものですね。ベビーオイルを綿棒にたっぷりとつけて、鼻の気になる部分にベビーオイルをなじませ、綿棒の綿の部分をコロコロと転がしてみましょう。
角栓がベビオイルに馴染むので、綿棒で汚れを取ることができます。頑固な黒ずみは、しっかりとベビーオイルをなじませた後に、2本の綿棒でその周辺を軽く押してみてください。ベビーオイルで溶けた角栓がニョキッと出て来ます。
このケアは頻繁にする必要はなく、週に1度や月に1度ほど行うだけで大丈夫です。
ヘアケア
実は髪の毛にも皮脂膜は重要な役割を果たしています。髪の毛の保湿は、頭皮から分泌される皮脂膜が少しずつ髪の先まで運ばれることで成り立っています。皮脂が少なくなってしまうと髪にコーティングされる保湿成分も減少するということなので、髪の毛がパサパサになる原因になるのです。
ドライヤー前の保湿
髪の毛は乾かさずに放っておくと様々なトラブルが引き起こるので、シャンプー後はドライヤーで乾かした方がいいですが、毛先の方はシャンプーで皮脂が取れているので乾燥しがちです。
ドライヤー前には少量のベビーオイルを毛先に馴染ませておきましょう。そうすることでドライヤー後でも毛先がしっとりとします。
頭皮の保湿
頭皮は紫外線の影響を強く受け、エアコンの風を直に受けたりして乾燥しやすい部分です。頭皮が乾燥すると髪の毛の生え具合にも影響が出たり、痒くなってフケがでたりする原因にもなるので、適度に保湿しましょう。
シャンプー後にタオルドライをしたら、ほんの少量のベビーオイルを手にとって頭皮の地肌に馴染ませていきます。あまりオイルの量が多いと髪の毛がベタベタになってしまうので、本当に少量にとどめておくのがポイントです。
ハンドケア
家事などで水分が奪われやすい手の乾燥対策にも、ベビーオイルはオススメです。ハンドクリームを塗る容量で、手を洗った後や家事の後などにベビーオイルを塗りましょう。しっとりしているのにサラサラとベタつかないので、次の仕事をしやすいのもいいところですね。
フットケア
足の裏など皮脂があまり分泌されないところは乾燥しがちです。特にかかとなどは影響が出やすく、歩く際に人間の全体重を支え、靴の摩擦を受けるのでダメージが大きい部分です。
かかとケア
そんな時にもベビーオイルはオススメ。保湿を目的として、入浴後などに足にベビーオイルを塗り、靴下を履きましょう。皮脂のかわりに肌をコーティングして乾燥を防いでくれます。
ムダ毛処理後のケア
ムダ毛処理をすると、多少肌へもダメージが加わります。ムダ毛処理後にベビーオイルを塗って保湿しておくと、ムダ毛処理後の乾燥を防ぐことができます。
ボディケア
体の乾燥しやすい部分にもベビーオイルで保湿しましょう。乾燥が気になる部分は入浴後などに適量のベビーオイルを手にとってやさしく塗っていきます。
体のマッサージオイルとして
お風呂の時にベビーオイルで気になる部位の浮腫みケアをすることができます。ふくらはぎなどは浮腫みやすいので、ふくらはぎ全体にベビーオイルを塗布して握りこぶしを足首から膝へ滑らせます。こうすることで足に溜まった老廃物がリンパを通って体外へ排出されるのでスッキリさせることができます。
妊娠線予防
妊娠線は急激にお腹が急激に大きくなることで皮膚が引っ張られてできるものです。特に乾燥すると妊娠線ができやすいので、ベビーオイルを塗って保湿しておくことである程度予防することができます。
肘や膝にも
肘や膝も気づかないうちに乾燥してカサカサになっていることがあります。服を着たら肘が繊維に引っかかった、なんていう経験はないですか?ついつい保湿ケアを忘れがちな部分でもあるので気づいたらしっかりと保湿しましょう。方法は簡単で、入浴後などに肘や膝にベビーオイルを塗るだけです。
ネイルケア
爪は毎日手を洗ったり家事をする中で水や洗剤にさらされることが多く、乾燥しやすい部分です。また、顔などの紫外線対策はよく行われますが、爪の紫外線対策は疎かになりがちで、紫外線の攻撃を受けやすいのです。
さらに、マニキュアやジェルネイルを行なっていると、除光液などの有害物質でダメージを受けます。そんな爪にもベビーオイルでの保湿はオススメです。
ネイルケアの一環として、またハンドクリームを塗るようにベビーオイルで保湿を行いましょう。
肌タイプによって合わない人もいる
保湿やマッサージオイルに最適なベビーオイルですが、肌の表面だけを油膜で覆うという特性から、肌タイプによって合わない人もいます。そんな場合は無理して使用せずに肌にあった化粧品を探しましょう。
脂性肌
ホルモンの異常や病気などが原因になる脂性肌の場合は、皮脂の過剰分泌の原因が、乾燥からくるオイリー肌とは違っています。乾燥からくるオイリー肌なら、ベビーオイルで保湿をすることで皮脂の過剰分泌が落ち着くことがありますが、ホルモンバランスの崩れなどが原因の場合は、いくら保湿をしても皮脂の過剰分泌が良くなりません。
これは生活習慣を見直すか、場合によっては病院での治療が必要になります。保湿をしても脂性肌が落ち着かないと感じたら、体内部の異常を疑いましょう。
ニキビ肌
ニキビがすでに発生している肌などにも、ベビーオイルはオススメできません。ニキビが発生しているということは、毛穴などにアクネ菌が感染してしまっているということ。
ベビーオイルにはニキビの原因菌をやっつける成分は入っていないので、ニキビ治療を目的に使うことはできません。もしベビーオイルでニキビ肌を覆ってしまったら、ニキビの原因菌を肌に閉じ込めて顔中に感染させる原因にもなってしまいます。
肌あれがある場合
肌あれがある場合もあまりオススメできません。肌あれを起こしている皮膚は通常より敏感になっています。そのため、ちょっと違う化粧品を使ったりスキンケア法を変えるだけで肌あれがひどくなる可能性もあるのです。
素材そのものが合わない場合
ベビーオイルは赤ちゃんに使えるほど優しいですが、それでも全ての人に万能に使えるわけではありません。時にはベビーオイルの成分でアレルギー反応を起こす人もいますから、もし心配な場合はパッチテストなどで使用前に使えるかどうか確認してみましょう。
まとめ
プチプラ化粧品としても話題のベビーオイル。一本あれば赤ちゃんから大人まで使えるところがお得でいいですね。
しかし使う際には自分の肌タイプを見極めて肌が保湿剤依存にならないように十分に注意しながら活用することが大切です。肌の特性とベビーオイルの特性を十分に見極めて、ぜひ日常に取り入れてみてください。
この記事は、ライターが収集した情報に基づいて作成されています。効果には個人差がございますので、ご自身の責任でご利用・ご参考ください。
Unyoung美容家
幼少時から家族の影響で健康に関心をもち、現代医療だけでなく東洋医学、代替医療など様々なジャンルに触れる。アロマコーディネーターライセンス取得。体の内側だけでなく美容への関心も高く、手作りの石鹸や化粧品でのスキンケアも実践。Recommend
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